お墓の引越し
お墓の形態について 一般墓・永代供養墓・樹木葬・散骨
お墓の形態は同じようでいて、実は時代によってどんどん変化しています。そもそも江戸時代初期などは8割以上が土葬で、人がなくなったらそのまま埋めていました。これが、急速に都市化が進む中で、衛生上の理由から火葬が増えていき、今ではほぼ全てが火葬され、骨壷に入れられてお墓に入ります。そして、お墓の形は今でも変わり続けています。その内容について、解説したいと思います。
お墓の形態
●一般墓とは?
いわゆる普通のお墓のことを「一般墓」といいます。敷地は寺院や墓地運営団体の持ち物で、それら運営主体へ、「永代使用料」をお支払いして、お墓を建立します。お墓の建立は専門の石材店が行います。大抵の場合、寺院・お墓が使っている石材店は固定化しており、寺院・お墓に相談すると特定の石材店を紹介されることがほとんどです。その後は、石材店さんと形や値段の交渉をすることになります。「永代使用料」+「建墓費用」がお墓を購入するときの主な価格になります。
一般墓は、お寺の境内にあるものや、霊園になっているもの、公営墓地などの種類があります。
一般墓から引っ越しをする場合、特にご先祖が檀家だった場合、檀家を離れる交渉をお寺とする必要があります。
●永代供養墓
通常の「一般墓」については、お墓のお世話をするのはそれを継いだ跡取りや家族の仕事です。一方で、最近、子孫がいない方や、子孫に迷惑をかけたくないといった方も増えてきました。その方々がお選びになるのが「永代供養墓」です。
これには様々なタイプがあります。
「納骨堂」タイプは、御遺骨をいれた骨壷を専用の納骨室で安置・管理するものです。そして、一定の年数が経過したところで、他の御遺骨と同じにします。年数は13年〜33年程度が多いようです。
「合祀墓」タイプは、御遺骨を骨壷から出し、最初から全部一つの合祀場所に御遺骨をまとめてしまうことをいいます。合理的でコストもかからないので、そういった方からの支持があります。一方で、最初に全てまとめてしまいますので、あとになって「やっぱり出して個別のお墓にしたい」と言っても、それはできません。
合祀した後は、お寺がある限りずっと、お寺の方がご供養をしてくださいます。
●樹木葬墓
ガーデニング墓地と呼ばれたりもします。一口に樹木葬といっても様々なタイプがあります。一人あたり一つの大きな樹木の根元部分に骨壷をご納骨するものや、お骨を粉にしてから園地内のシンボルツリーの回りに撒くものなどがあります。地方に行くほど、広く大きな庭園タイプになり、都心では、逆に一人あたりの納骨スペースはかなり小さなものになります。
お骨が土に還り、それが木の養分となって、葉や花となり散っていくというのが、自然志向の方に好まれています。また、樹木葬と永代供養がセットになったものなどもあります。
●散骨
散骨とは、その名の通り、御遺骨を海や山に撒くことです。現在、法律によって、散骨は原則として禁止されています。しかし、海の上で、儀式的にやるものや、特別な許可を得た土地においては、撒くことが許されている場合があります。ほとんどのケースが海に撒いています。地域の条例によっては沿岸で散骨するのを禁止しているエリアもあります。散骨が多いエリアは、人工の多い都市部に近いエリアの海や沖縄などのリゾートエリアが人気です。中にはハワイで散骨する、というケースもあります。
海に撒く場合であっても、すべてを散骨するのではなく、御遺骨の一部を散骨とし、残りは一般墓や永代供養墓に入れる、というケースもあるようです。
このように、お墓のタイプには様々なものがあります。時代によってこれからもどんどん変化していくと思われます。